Into Thin Air
今読んでる本のタイトルが、以前に紹介したOut of Thin Air と対になってるというだけの話・・・かたや恐竜の進化、こちらはエベレスト史上最悪の遭難事故の話と、互いになんの関係もない。共通しているのはthin air = 低酸素濃度だけである。
同じ著者のInto the Wild は映画化もされたベストセラーだったから、それと同じスタイルで取材して書かれたノンフィクションだと思って買ったら、著者自身が事故の生存者だと前書きにあっておどろいた。彼や他の登山者が高度8000mで体験する高山病は、下界で想像するよりずっと恐ろしい。酸素が足りないと、基本的な生命活動が阻害される。食物を消化することさえできず、食事をとっていても飢餓状態と同じなので、体は自分自身を消化し始める。脳や肺が致命的なダメージを受けることもある。
大量遭難の直接の原因は天候の急変だったが、経験十分とはいえない登山者たちの体力と判断力を酸素不足が大きく削いでいく様子が生々しく語られている。(読んでいるだけで息苦しくなってきて、今週なんだか体調が悪いのはそのせい?)
われわれ哺乳類はこのような酸素圧の低下に適応するようにできていない。空間的にはそもそも垂直移動の能力が小さいし、時間的には恐竜が進化した頃のような超低酸素の時代をまだ経験していないのである。
鳥はこの点でずっと優れている。アネハヅルは8000mの峰を翼で越える。そんなことができるのは、恐竜から受け継いだ(あるいは鳥が恐竜に与えた、という説もあるが)呼吸システムがあってのこと。体じゅう、骨の中にまである気嚢に空気をため、しかも非常な速さで換気ができるガス交換系が、薄い空気の中での激しい運動を可能にしている。ほんとうにすごい生き物なのだ。これを読み終えたら、Out of Thin Air を読み返してみよう・・・気分が良くなるはずだ・・・
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