2009年7月10日 (金)

バリ島旅行記:トゥンガナン

夏休み前のせいか、バリ島の地名で検索してたどりつく人が多いもよう。それで思い出して、書きかけのままになっていた1年前の旅行記の続きを書くという無謀な試みです。しばらくしたら本来の日付にバックデートします。

2008年7月1日
チャンディダサを出て、ティルタガンガへ行く前にバリ・アガ(原住民といわれている人たち、ヒンドゥのバリとはまた違った文化を保持している)の村トゥンガナンへ寄る。見たいのは有名なグリンシン、ダブル・イカットと呼ばれる技法で織られる布である。

イカットとは絣のこと。先染めによる柄織りである。普通の絣は、経(たて)糸のみを絞染めにしてから織ることで柄を出す。ダブル・イカットの場合、緯(よこ)糸もデザインに従って染めてから織る。というと大して違わないように聞こえるかもしれないが、実はこれがすごいことなのだ。

1982rev 機の形を考えてみれば分かる。経糸は、出来上がりと同じ長さの複数の糸を織機にかける。だから、染め方は比較的わかりやすい。いわば、糸一本分の幅で柄をスキャンしたパターンをBBBRYRRYというように色記号化し、そのまま経糸上に再現するわけである。それだって二色、三色と精緻な絞染めを行うのはたいへんな手間である。

だが緯糸は・・・経糸と違っていわば一筆描きである。グリンシンの幅は短いもので二十数センチだから、その長さで折り返しながら柄をたどっていかなければならない。上のパターンだとBBBRYRRY/YRRYRBBBとなる。考えるだけで気が遠くなるというか、どうして頭の中だけでそんなことができるのか想像がつかない。まるで、DNAの鋳型なしに絞染めでRNA鎖を構築して、それでタンパク質を作ろうとするようなものだ・・・

ともかく、村は広場に沿って家々がものすごくきちんと並んでいるのが印象的だ。もしや、この人たちの世界は無数のセルが組み合わさった長方形でできているのだろうか?

ワークショップになっている一軒を見学する。工程を写真で説明したパネルもあって興味深い。リーダーらしい女性が話しかけてきて、いろいろと教えてくれる。糸を染め始めてから一枚織り上げるのに短くて数か月、長くて数年かかること。染めを繰り返す回数で発色のよしあしが決まること。柄をきちんと出すためには、染色の正確さに加えて、微妙な調整を加える織りの腕もなければならないこと・・・

が、おそらく出来上がりを大きく左右するのは、全工程のうち最初の部分──二次元のデザインを一次元に分解し、糸の上に再現するためのプランを立てるところなのだろう。後工程にかかる長い年月と膨大な手間は、このシークエンスの精度を信用して費やされる。「あ、ここ間違ってました」ではすまされないのだ。

染めあがった糸の束も見せてもらった。とうぜん、藍・赤・黄が脈絡なくまだらに並んでいるようにしか見えない。冗談で「これだけ見て何の柄かわかるの?」と問うと、わかるのだという。それを聞いてこの布が魔除けの力を持つことが信じられる気がした。違う世界、違うマインドに触れてぼうっとした頭で山を下り、三叉路(これの右左折がわかりにくい)でうっかり逆走して事故りそうになりながら、アンラプラを通ってティルタ・ガンガへ向かう。

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2009年7月 5日 (日)

オナガ一家

住宅街を流れる支流へカワセミを見に行った先の、岸の斜面にあるちいさい林でこんな鳥に出会った。
2009070501_5  かわええ

↑幼鳥は全部で3羽、この子がたぶんまん中か年長?きょうだい同士でキュイキュイ と鳴き交わしながら枝を移ったり親から餌をもらったりしている。

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↑いちばんヒナヒナしい子がこれ。前頭部に綿毛が残っていて白くみえる。

2009070502

↑待っていたらきょうだい全員と親鳥で集まってくれた。成長段階によってしっぽの長さが違う。長くても短くてもオナガの子はオナガとはこれいかに。

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2009年7月 4日 (土)

コアジサシ

コアジサシの巣を見に行くが空になっており、他の巣があったあたりも飛んでいる親鳥がほとんど見当たらなかった。先週の記録と写真の一部を。

6月27日 晴れ、暑い
2009070401_2 12時15分 オスが巣にいる。上空にオオタカ?現われる
12時30分 オス水浴びして戻る
12時35分 ヒナ1羽見える
12時48分 メス魚持って来るオス去るヒナ2羽。メスが魚与えるが大きすぎ呑み込めない。メス自分で食べ座る
13時5分  水浴びして戻る
13時9分  オス来る餌なし交代

6月28日 曇り時々雨

2009070402_3 10時30分 メスが何かに警戒して飛ぶ。戻る
10時45分 オス魚持ってくる。メス動かない。オス去る
11時00分 オス来る。ヒナ立とうとするがメス動かない。オス去る
11時25分 大型カモメ来る。トビ来る。メス発進する
11時30分 オス来る。交代

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2009年7月 3日 (金)

1+3+5

先週の写真から・・・ 1羽だけちょっと遅れてるけど、きれいに三角形の隊列で泳ぐカルガモ一家。ヒナのくちばしの先は、大きい子ほど黄色い部分が大きいようにみえる。成長とともにだんだん黄色くなるってことかな?

2009070201

カルぴよの季節もそろそろ終わり・・・

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2009年6月28日 (日)

コシアカツバメ

曇りのち雨。きょうはいつもと少し違った顔ぶれが・・・

下流からやってきた大型のカモメ類。種別不明。誰?冬ならセグロカモメと思うところだけれど・・・
2009062801

コシアカツバメ
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2009年6月20日 (土)

湖北の旅:鯖そうめん

仏様とうって変わって生臭な話題である。なにしろ鯖そうめんだ。母親が「テレビでおいしいって言ってたから」ぜったいに食べに行くと言い張っていたので、長浜の街中をチェックしてたどりついた店。その番組での絶賛ぶりを見ていない私はかなり懐疑的だった。が、実際に出てきたお素麺は、焼いて脂を落としてから煮た鯖の旨みだけを吸い込んで美味。生臭いところなどまったくなかった。

店の人の話では、湖北地方のお祭りのときに出るご馳走なのだそうだ。日本海に近い土地だが、昔から山を越えて運ばれてくる海産物は、締め鯖にしろ焼き鯖にしろ保存がきく形になっていたのだろう。

このあたりの鯖寿司はじつは京都のものよりうまい。それに鮒寿司はおみやげからはずせない。あくまで自分用、独り占め~。って、誰もうらやましがらないのだけれど。

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2009年6月19日 (金)

湖北の旅:観音めぐり

この日の日中はお寺巡りにあててあった。

西野薬師堂
水辺から峰ひとつ隔てた、のどかな里にある薬師堂。十一面観音像と薬師如来像が並んでいる。堂守がいないので地元の人が交代でお世話されている。中を見るにも、当番の方に電話して鍵を開けに来ていただく。恐縮でありがたいことだが、戦国時代の昔から、湖北の観音様はみなそうやって地元の人が守ってきたのだという。

渡岸寺
有名な国宝・十一面観音像。2年前にたずねたとき以来、新しい専用のお堂(耐火金庫のような造り!)ができ、見学しやすくなった。しろうとでも吸い込まれるような美しさのある仏様。たまたま鳥用の双眼鏡を首にかけたままだったので、失礼して小面の詳細もよく見せていただいた(撮影は禁止です)。

石道寺
山すそにある、こちらも小さなお寺。十一面観音像は素朴だけど女性的な仏さま。

私自身は特に仏教徒とはいえないが、そういう文化の中で育ったものとして仏はありがたいものという感覚はある。これらの仏像は彫刻美術として世界に誇るべきものだが、それ以上に、仏様を有難いものとして崇め、戦火から守り大切にお世話してきた人々の心が観音像を貴重なものにしているのだと思う。渡岸寺の観音様が東京の博物館に来られたとき、人々はやってきてその美しさに感嘆したが、その価値のほんの一部しか伝わらないという点では、写真を見ているのと変わらなかったのである。

と、ここまで書いて、以前ハワイ島へ旅したときに行き会った小さい教会のことを思い出した。島の南部はキラウェア火山の噴火の脅威に常にさらされている。溶岩流が麓の村にせまったとき、村人は自分たちの家が次々と燃えあがる中、その礼拝堂をトレーラーで引いて安全な場所まで移したのだ。そのときの模様を教会の外に座っていた女性から聞いたときは柄にもなく涙がこみあげたのを覚えている。(彼女は溶岩のことを火山の女神の名前で呼んだ。「ペレがすぐそこまで迫ってきていて、私たちにはほんとうに時間がなかったの・・・」)

この教会も内部の全面に壁画があってちょっと有名だったりするのだが、このエピソードは絵そのものの何倍も美しいと思う。戦国時代、焼き討ちから観音像を守るために土に埋めて隠したという話とまったく同じ、人々の生活に根ざした信仰と愛着というものがいかに強いかを示す証左だからである。

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湖北の旅:オオバン

5:30 早起きして湖岸の散歩に出る。オオタカらしい姿が背後の山から岬のほうへ飛んでいくのが見えた。岸が入り組んでオギが生えているあたりにオオバンの巣があった。

ヒナは全部で3羽。バンのヒナに黄色いたてがみをつけた感じで、頭は赤い地肌、体は黒い綿毛に覆われている。可愛いのかどうかは微妙だ。(私はカリフォルニアコンドルに似ていると思う。)くちばしの先は白い。

2009061905 2009061907
親鳥は1羽が巣を守り、もう1羽が緑色の藻類を集めてきてヒナに食べさせている。あまり旨そうに見えない食事だが、ヒナは親が来ると駆け寄って餌をねだる。

2009061904 近くではあと2つがいが営巣を始めようとしている。餌集めに夢中になった1つがい目の親鳥がうっかり隣の縄張りに侵入し、激しい争いが起こった。

左側の2羽(重なってる)がヒナのいるつがい。手前の鳥の蹴りが入っている。右側のつがいは、巣にいた1羽が遅れてかけつけたところ。こういうときでもオオバンは飛ばない。水面を走ってくるのだ。

2009061906 キックの応酬がおさまったところで隣人たちはそれぞれの巣に戻る。最初のペアも、何事もなかったかのようにヒナと平和にすごす。

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2009年6月18日 (木)

湖北の旅:水辺の宿

湖岸を北上して、きょうの宿につく。水辺に立つ温泉宿。こぢんまりしたロビーには望遠鏡が備え付けてあって、目の前に来る水鳥を観察できるようになっている。カイツブリ、カワウ、カルガモのほかにオオバンが多数。カンムリカイツブリ、ヒドリガモ、キンクロハジロの姿も少数みえる。ふだんのフィールドでは冬鳥の面々だ。冬にはもっと多くの種類が大群で来るそうな。

部屋からの眺めはさらにすばらしい。きれいな空と広い湖面が見渡せる。向かいには右手から湖面に突き出した岬と、その突端である竹生島。眼下には隣の漁港から出た小舟が、水鳥と一緒に浮かんでいる。反対側には砂嘴がいくつかあって、柳の木(多分)が一列に並んで生えている。

大浴場へいくと平日なので貸し切り状態。ここからもはやはり湖を望む。屋根下に営巣しているツバメの幼鳥がすぐそこの手すりにとまりに来る。しっぽは短く、くちばしの端も黄色くてまだヒナヒナしている。人を恐れず、キョロっとこちらを見上げる様子があまりに可愛いので、よほどカメラを取りに部屋へ戻ろうかと思ったが、さすがに女湯にでかいカメラを持ち込むのはまずいだろうと我慢。

露天はカイツブリやオオバンと一緒に泳ぐ感覚。アシの陰にカンムリカイツブリが2羽いると思ったら、向かい合ってダンスをする求愛ディスプレイを始めた。こんどこそカメラを取りに戻ろうかと考えたが、さすがに(略)

湯あがりに散歩に出る。夕陽が目の前の岬に沈む。砂嘴のシルエットが逆光に美しかった。

2009061802

夕食はすき焼きをお願いしていたら、ちゃんとお砂糖とお醤油を使う関西風だった。このあたりが分布の東限だそうな。それに琵琶湖固有種のビワマス(アメノウオ)のお刺身、サケより柔らかく脂が乗っていて絶品。色は透明感のあるオレンジピンク。ここでしか味わえないところがまた貴重。イワトコナマズの煮付け、これも琵琶湖では湖北にしかいないらしいが、ナマズのように泥臭くなくてふわりとした風味。小ぶりの鮎。鮒寿司などなど。

その後ホタルを見に連れて行ってもらう。田んぼ脇の水路に、はかない光が静かに息づいていた。アマガエル多し。あと何だかわからないけど暗い水田で「キィ」と鳴きかわす鳥。

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湖北の旅:水郷めぐり

京都駅から1時間で琵琶湖の内湖・西の湖に着く。内湖とは、琵琶湖本体からはみだすようにできている小さい水域のこと。水深は浅く、アシ原が生い茂って、本体とはまた違った環境をなしている。ここを和船で案内してくれる水郷めぐりへ。

船は手こぎ。ときどき櫓がきしむほかは、音もなく水面を進んでいく。そのほかに聞こえるのは船べりを舐める水音や、アシの葉ずれくらい。普段の生活じゃ、「静けさ」がいちばん手に入りにくいもの。船の揺れに身をまかせ、ゴザの上でのんびりする。

オオヨシキリが数え切れないほど営巣していて、せっかくの静寂をかまびすしく破る。ほかにセッカ、ヒバリ、カイツブリがさえずる。

水路の両側のアシはまだ伸びきっていない。去年の枯れた茎は水面から2メートルくらい。上空から見たら、アシ原は緑に薄茶色の霜降りに見えるだろう。根元にカイツブリが営巣しているあたりから開けた場所に出ると、鏡のような水面に、安土城跡のある安土山が映っている。ちょっと水墨画のような風景。写真は…とったけど揺れてて全滅。やはり旅の景色は目と心に焼きつけるのがよろしいようで。

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